「MEC Award 2015(Media Explorer Challenge Award 2015)」

MEC Award 2015 入選作品展

映像表現の新たな可能性に果敢にチャレンジする映像作家やアーティストたちは、映像の世界を開拓・冒険するMedia Explorer(メディア・エクスプローラー)と呼ぶことができるでしょう。映像分野における新しい才能の発掘と制作支援を目的とし、SKIPシティ 彩の国ビジュアルプラザ 映像ミュージアムでは公募展「MEC Award(メックアワード)—Media Explorer Challenge Award—」を2012年からスタートさせました。

本入選作品展では、第一線で活躍する審査員により選ばれた5組のMedia Explorerの作品を展示いたします。映像表現の明日を担う若き才能の力強い第一歩をぜひご覧ください。

【入選作品発表】

2015年1月末、彩の国ビジュアルプラザにて審査員3名による入選作品選考会が行なわれました。今年は53組、64作品のご応募があり、厳正なる審査の結果、入選5作品、佳作9作品を選出いたしました。入選5作品は3月7日(土)~3月29日(日)に開催される「MEC Award 2015 入選作品展」でご覧いただけます。

MEC Award 2015

【MEC Award発表】

受賞作品:「コンドルは飛んでゆく」

受賞作品:「コンドルは飛んでゆく」
受賞者:山内祥太
2014年/映像インスタレーション/8分39秒

受賞者コメント
実は100時間(副賞の施設利用権)使えたらとなにができるかずっと考えていたので素直に嬉しいです。
副賞を使って映画を撮ってみたいので、今はそれに使えたらいいなと考えています。

審査員コメント(森 弘治氏(アーティスト))
今回で3回目を迎えるMEC Awardsは、募集作品全体として表現のバラエティーもあり、質の高い映像作品が数多くありました。
受賞者の山内祥太さんの作品は、一見、ラフで成立しないような物語を、多彩な映像・視覚要素で上手に紡ぎとられているところに多くの可能性を感じ評価をしました。
展示では、映像の中だけではなく、現実空間へ展開して作品を成立させているところも素晴らしいと感じました。

【入選5作品(50音順)】※実際の展示方法は写真とは異なる場合がございます。

「おでかけ」 2014年/アニメーション/5分8秒

川上彩穂 Ayaho Kawakami

プロフィール:
2012年 東京農工大学農学部地域生態システム学科 卒業
2014年 東京藝術大学大学院映像研究科アニメーション専攻 修了
川上彩穂HP  

作品紹介コメント:
彼は毎日の生活をあたりまえのように過ごす。食事をして服を着て今日も出かける。

「おでかけ」
「おでかけ」

MEC Award受賞作品
「コンドルは飛んでゆく」 2014年/映像インスタレーション/8分39秒

山内祥太 Shota Yamauchi

プロフィール:
2014年 東京藝術大学大学院映像研究科メディア映像専攻1年 在籍
2014年 第20回学生CGコンテスト 渡邉朋也賞受賞

作品紹介コメント:
確かにあのとき、私は奈良にいました。鹿について行くと民家があったので入りました。鯖を塩焼きにして食べましたが、あまりおいしくありませんでした。塩気が足りませんでした。私が、おしっこをしている最中に、コンドルが飛んできて鹿を連れ去ってしまいました。不覚でした。そんな時です。彼はやってきたのです。この時を待っていたかのように。そのふわふわとした柔らかいボディの緑色のブツは、私を乗せて…….あれ?すいません。そこからはあまり覚えていません。

「コンドルは飛んでゆく」
「コンドルは飛んでゆく」

「Don't flatten. part 5」 2014年/映像インスタレーション/4分15秒

井藤雄一 Yuichi Ito

プロフィール:
2014年 中京大学大学院情報科学研究科メディア科学専攻博士後期課程了 博士(メディア科学)
現在 中京大学工学部メディア工学科 助手

作品紹介コメント:
データモッシングと呼ばれる動画再生エラーを意図的に誤用する表現手法で制作した。エラーを用いる意味は、現代社会のエラー(間違い)にアプローチすることだと考えている。普段、只のエラーで片付けられてしまうものをポジティブに利用し、社会に存在している誤りの本質について潜考する機会を提供したい。

「Don't flatten. part 5」
「Don't flatten. part 5」

「LIKE FATHER LIKE ARTIST」 2014年/映像/12分08秒

齋藤はぢめ Hajime Saito

プロフィール:
2014年 東京造形大学造形学絵画指標 卒業
2015年 美学校「アートのレシピ」5期 受講中

作品紹介コメント:
他者に言葉を投げかけ励ます行為は自身の未だ固まらぬ姿や思想を固め、露呈する行為に思える。未だ父親になったことの無い彼らは「父親」という絶対的な存在を演じながらどういった言葉を娘に投げかけるのだろうか。

「LIKE FATHER LIKE ARTIST」
「LIKE FATHER LIKE ARTIST」

「Racket camera」 2014年/映像インスタレーション/1分44秒

>三嶋一路 Ichiro Mishima

プロフィール:
2009年 秋田公立美術工芸短期大学鋳金専攻 卒業
2012年 第7回1wall展[写真]ファイナリスト
2015年 東京藝術大学大学院 修了

作品紹介コメント:
この作品はスマートフォンを卓球のラケット型のデバイスにすることで、映像を知覚する上での実験を行うプロジェクトです。映像は静止画を連続させることで動いて見えています。卓球のラリー中に選手は球の軌道や回転を瞬時に判断せねばならず、非常に早いテンポで意識を刻んでいます。選手が集中した際に体験する、球がゆっくり動いているかの様に見える現象は、映像のフレームレートが下がり、コマ落ちしている状況に似ています。

「おでかけ」
「おでかけ」

【賞】入選作品の中から「MEC Award」を決定いたします。

MEC Award(1点)※受賞者は3 月7 日(土)に発表。
副賞:彩の国ビジュアルプラザ内施設の100時間までの無償利用権(利用出来る施設:HDスタジオ、映像ホール、編集室、MA室、レンタル機材、他)

【佳作9作品(50音順)】

※会場内のモニターでループ上映いたします(インスタレーション作品の場合は作品資料映像を上映)

◆「ENTER ENTER」 2015年/映像/2分12秒
齋藤雄介 Yusuke Saitoh

◆「景色の決壊 スペキュラー(スペクタクル・キャタピラー・タワー)」 2014年/映像インスタレーション/5分59秒
だつお×メグ忍者(オル太) Datsuo ×MEGUNINJA (OLTA)

◆「砂漠の夜の夢 – Desert night’s dream -」 2014年/アニメーション/4分16秒
中村綾花 ayaka nakamura

◆「福島の光景+α(2014)」 2014年/映像/14分59秒
岩崎孝正 Iwasaki Takamasa

◆「sink」 2014年/映像インスタレーション/3分3秒
西里沙也加 Sayaka Nishis"ato

◆「cl」 2015年/映像インスタレーション/5分4秒
土居下太意 Tai Doishita

◆「SELF IMAGE」 2014年/映像/4分38秒
小坂透 Toru Kosaka

◆「Practice for identification[自分以外の何かになるための実践]」 2014年/映像インスタレーション/12分24秒
高川和也 Kazuya Takagawa

◆「ベジタブルジャーニー」 2014年/映像/6分38秒
藤井龍 Ryo Fujii

【審査員】(50音順・敬称略)

本年度はゲスト審査員にTACKOM氏を迎えて、4名の審査員で審査しました。

塩田周三(ポリゴン・ピクチュアズ代表取締役)

塩田 周三(ポリゴン・ピクチュアズ代表取締役)

2003年の代表就任以来、海外のTV シリーズや海外市場をターゲットにしたコンテンツ企画開発を推進。アルス・エレクトロニカ賞(オーストリア)、SIGGRAPH(アメリカ)、TBSDigiCon6他、国内外の有数映像コンテストの審査員等を歴任。2008年には米国アニメーション専門誌 Animation Magazine が選ぶ「 25 Toon Titans of Asia(アジア・アニメーション業界の25傑)」の一人に選定された。また、2012年にはTVアニメ「Transformers: Prime」のエグセクティブ・プロデューサとして第39回 デイタイム・エミー賞を受賞する。

四方 幸子(キュレーター) Photo: 土田祐介

四方 幸子(キュレーター)

情報環境とアートの関係を横断的に研究、キヤノン・アートラボ(1990-2001)、森美術館(2002-04)、NTTインターコミュニケーション・センター[ICC](2004-10)と並行し、フリーのキュレーターとして先見的な展覧会やプロジェクトを数多く実現。2010年より「拡張されたキュレーティング」を提唱。札幌国際芸術祭2014では、メディアアートと参加型プロジェクトを担当。多摩美術大学・東京造形大学客員教授、IAMAS(情報科学芸術大学院大学)非常勤講師、明治大学兼任講師。

森 弘治(アーティスト)

森 弘治(アーティスト)

映像作品を中心に現代美術の分野で活動。主な展覧会に、第3回恵比寿映像祭、越後妻有アートトリエンナーレ2009、第52 回ヴェネツィア・ビエンナーレ国際企画展、原美術館「アートスコープ2005/2006」、ジュ・ド・ポーム国立ギャラリー「The Burlesque Contemporains」(フランス)など国内外で作品を発表。また、2009年にアーティスト主導による芸術支援システム「ARTISTS` GUILD」を設立。現在は共同代表。

会期 2015年3月7日(土)~3月29日(日)
開館時間 9:30~17:00(入場16:30まで)
休館日 月曜日(祝日の場合は翌平日)
会場 SKIPシティ 彩の国ビジュアルプラザ 映像ミュージアム
映像ミュージアム入館料 大人¥510/小中学生¥250(常設展示もご覧いただけます)

3月7日、8日限定で入選展会場には世界で最も先進的なマルチユーザーに対応したインタラクティブディスプレイ「MultiTaction©」を設置します。
このディスプレイでMEC Award2012、2013の受賞者の作品をご覧いただけます。最先端の技術をお楽しみください!!

【MEC Award アーカイブ】

主催:埼玉県
後援:埼玉県教育委員会/川口市/川口市教育委員会
企画:株式会社デジタルSKIPステーション